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《イケメン戦国》時を越えて

第8章 時を越えて〜出陣準備〜


空手技を披露した後、舞が女中に連れられ滞在する部屋へと移動して行った広間で
「ここから春日山へ行くだけにしてはずいぶん用意周到だな?」
政宗が信玄に尋ねる。
「先日の矢馳せ馬の件は近隣国でもかなり噂になっている。当然、顕如や朝倉の耳にも入っているはずだ。『信長の寵姫』だと認識され、人質にされる可能性は大いにある。織田と上杉の領地内の移動とは言え、間諜が潜り込んでいないとも言えない。用心には用心を重ねてちょうど良いくらいだと思うが?」
「なるほどな。確かに追い込まれた鼠からすると、なりふり構ってられないだろうしな。」

佐助「平和な世からやって来て、今まで安土で守られていた舞さんは、この時代の危険性を全くと言っていいほど分かっていません。奇襲なら俺と義元さんがいるし軒猿が数名、警護にあたります。彼女自身の戦闘能力も考えればそこまで危険ではないでしょう。怖いのは、警戒心の薄い彼女が言葉巧みに騙され、連れ去られることです。もちろん俺も義元さんも側にいますが、厠や風呂までは付いて行けない。少しの隙を狙われてーーという可能性を考えてやり過ぎと言うくらいに対策しました。」
信玄「人質に取られても、顕如や朝倉なら早々に命を取られることはない。怖いのは、暴走した一向宗の門徒だ。奴らが暴走すれば、誰彼構わず攻撃する。まんまと顕如と朝倉に乗せられて織田軍に恨みを持った門徒に、舞が織田軍の姫だと知れれば、すぐに殺られてしまうだろうな。それだけは絶対に防がなくてはならん。」

三成「そうですね。門徒の動きは?」
信玄「越前に続々と集結している。」
信長「では、あまり時はないな。朝倉次第か。」
三成「はい。光秀様から『既に景鏡氏との接触は終わった』との報告が来ておりますので、時間の問題かと。」
信長「相分かった。では、予定通り明朝には出立する。」
信玄「そうだな。織田軍は一乗谷経由で行け。俺たちは加賀経由で向かう。」
三成「承知」
信玄「じゃあ、俺たちは兵を待機させている場所へ戻る。」
信長「ああ。」
謙信「佐助、義元。舞を必ず守れ。春日山では護衛なしに外へ出すな。」
義元「分かったよ。」
佐助「はい。」

去り際、
「舞にこれを渡せ。」
と謙信が佐助に預けたのは、上杉の護り刀。
驚く佐助に
「舞のくれた守りの礼だ。」
そう言う謙信の舞への想いを理解した佐助は、深く頭を下げた。
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