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《イケメン戦国》時を越えて

第8章 時を越えて〜出陣準備〜


「幸村、ありがとう!」
礼を言って、笛を吹いてみる舞。
「あれ?音が鳴らないよ?」
「あー、人には聞こえねえ。」
「そうなんだ。動物じゃないと聞こえない音なんだね。」
「おー。これはこうやって首にかけてろ。」
そう言って幸村は笛を首にかけてくれた。
「ありがとう。危険がなくても村正に会ってみたいから、春日山に着いたら吹いてみるね。」
「おー。」
舞の笑顔に幸村の顔は紅く染まっていた。

「ところで舞さん、君は剣道以外の武術はやってなかったの?」
佐助が尋ねて来る。
「えっ?ああ、剣道以外は空手と護身術を少々…」
「空手…。ちなみに階級は?」
「……8段です。」
「黒帯か。ははっ、さすがだね。」
強い女アピールをしているようで恥ずかしく、歯切れの悪くなる舞。

「おい、佐助。『からて』ってなんだ?『黒帯』は強いのか?」
政宗が聞いて来る。
「空手は格闘技の一種です。強さによって階級があり、10段が一番上です。舞さんは8段なので、かなり上級者です。空手は帯の色で階級を現すのですが、『黒帯』は階級が上の人が身に付けるので、いわゆる強い人のことを指して言います。動きの説明は実際見てもらうのが一番かと思うけど…舞さん、良いかな?」
「うー、あんまり良くないけど、しょうがないね。佐助くんは空手は?」
「俺は合気道をやってた。」
「そっか。合気道なら技を受け流すのは大丈夫だね。」
「うん。たぶん。でも、お手柔らかにお願いします。」
舞は苦笑いだった。

空手の型を見せるだけと言うことで、そのまま広間で披露する。
「押忍!」
そう言って組み合いを始める。
正拳突きから始まって、様々な拳技を繰り出す。続いて打ち技、蹴り技を見せ、最後は頭突きで終わった。
その華奢で可憐な身姿からは想像もつかない鋭い攻撃の数々に、見ていた武将たちは度肝を抜かれた。

「すっ、すげえな。」
幸村が発したのを筆頭に
「お前は本当に…くくっ、何者なんだ?」
「いやー、これはすごいな!」
「くっ、やはりおもしろい。」
「ふっ。」
「さすが兄上の連れている女人。くくっ。」
とそれぞれが漏らす中
「美しいね。舞っているようだったよ。」
「舞様はやはり戦う姿も麗しいですね。」
義元と三成だけは、相変わらず頓珍漢なことを言っていた。
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