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《イケメン戦国》時を越えて

第3章 時を越えて〜素性〜


下を向き無言で涙を流す私の様子を伺っているのか、広い室内は鎮まり返り、私が鼻をすする音しか聞こえない。
(何か答えないと!)
と必死に止めようとする涙は次から次に溢れ、遂には嗚咽が漏れ始めた。
「ヒクッ、ヒクッーー…うっ、ううっ」

そんな私に痺れを切らしたのか、最後通牒を突き付けるためなのか、誰かが近寄って来る足音。
刹那ーーー
大きな掌が背中をさすり出した。まるで、子をあやすような優しい手つき。「大丈夫だ」と「安心しろ」と言ってくれているような…
そのおかげで私の心は落ち着いて行き、それとともに涙も収まって来た。

(そうだ。泣いてたって何も解決しない。信じてもらえなくても、話さなきゃ。何もせずに斬られるなんて嫌!)

そう決心し、深呼吸をして背中をさすり続けてくれた人を見上げれば
「あっ…」
驚きに思わず声を上げた。

真っ直ぐに向けられた琥珀色の瞳。その瞳は優しい手つきとは反対に何の感情も読み取れない。私を心配しての行動ではない事を示す瞳に
「どうして…?」
無意識に溢れ落ちた私の言葉に答える代わりに
「案ずる事はない。お前の気持ちを思うままに話せ。」
そう一言告げると、彼は私の頭を一撫でして側を離れて行った。
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