第3章 バイオ研究所
「それと、これを持ってきたデス」
所長は椅子に背負い帯とシートベルトが2組付いた物を差し出した。
「そこのお嬢ちゃんは満足に歩けないデス?だからこれに乗って誰かに背負ってもらえばいいデス」
「嫌よ、そんなの!それじゃまるで私がお荷物になるみたいじゃない!」
遙人がそれを取ろうとするより早く、カラ松が手にして背負った。
「○○ちゃん、俺が背負うよ」
「私は足手まといになりたくn」
「そうじゃない。○○ちゃんはこれに乗って、俺の背後を守って欲しいんだ。アンダスタン?」
「背後を…守る…?それって、背中を預けるってこと?」
「その通り!戦う俺の背後を守る○○ちゃん。だがそれは逆に俺が○○ちゃんの背後を守るということでもある!」
○○はカラ松に走り寄って両手で顔を包み、口づけた。
「ありがとう、カラ松くん!じゃあ遠慮なく乗るわね!」
「おおおお……!俺の…俺のファーストキス…!」
カラ松は○○を抱き締める。
「回り出したぜ、恋の歯車!俺は君を離さない、離しはしない!誰にも渡さないぜ、マイハニー」
唇をつき出して顔を近づけるカラ松に、○○はもう一度キスした。
「「……はぁああああ?!」」
「何で?!何でカラ松兄さんなの?!もっとまともな僕がいるでしょ?!」
「おい、トド松!お前だけずるいぞ?!」
「そうだそうだ!ずるいぞ、トドまーつ!」
「俺にだってチャンスはあるはず…!」
「僕だって!」
「じゃあ私を背負って走ったり戦ったりできる人は?」
するとおそ松たちは顔を見合わせた。
「俺は面倒なことしない」
「僕は多分体力が…」
「僕も自信ないなー」
「僕は背負えるけど、めちゃくちゃ振り回しそう」
○○はニッコリ笑ってカラ松に抱きついた。
「じゃあ、決まりね」
「はっはー!アイムウィン!」
「でもさ」
おそ松が言う。
「戦車で行けばよくね?てかここにいれば安全だよね」
「レレ!ここはもうすぐ海に沈むんデス。だから移動しないとならないんデス」
「は?!じゃあどうしてここに来たの?!」
抗議する6つ子たちに隊長が言った。
「所長がいたからだ。片足をゾンビに噛まれた者がいてそれがゾンビにならないとなれば、研究に回さない手はないだろう」