第3章 バイオ研究所
「た、助けて下さい!」
「…この少女を殺そうとしたお前がそれを言うのか?」
すると兵隊は自分がしようとしていたことがどういうことなのか理解したようだ。
「す、すみませんでした!お願いします!ゾンビになりたくないんです!」
遙人たちにはもうチェーンソーはない。健太が持っていってしまったからだ。すると隊長が鉈を持ってきた。
「歯を食いしばれ!」
しかし切ろうとすると足を動かして逃げてしまう。
「お前たち、こいつの足を押さえててくれ」
「了解!」
頼まれたおそ松たちは喜んで押さえつけた。
「ひっ!ひぃいいいい!」
「うるさ…!」
「○○ちゃんは潔かったのにな」
「悲鳴も上げなかったよね…」
「兵士さんって、意気地無しなんだね!」
切断された足を見て、兵士は気を失ってしまった。
「情けない奴め。着いたらこいつは除隊させる!」
「イェッサー!」
移動しながら気になったことを聞いてみる遙人。
「どこへ行くんですか?」
「バイオ研究所だ」
「えっ?!ゾンビを作った元凶のところへ?!」
すると隊長が深いため息を漏らした。
「やはりそういうことになってしまっていたのか」
「違うんですか?」
「…いや、厳密には違わないのかも知れん。そこでゾンビを作って使役しようとしていた奴がいてな。だがそいつは作ったゾンビに食われてしまったんだ。そしてそのゾンビが研究所の外に出て…この有り様だ」
「ちょ、タンマ!」
声をあげたのはおそ松だった。
「そんな危険な所に行くの?!馬鹿じゃねぇの?!」
「口の聞き方に気を付けろ!」
兵士に殴られそうになるのを隊長が止めた。
「いいんだ。言われても仕方ないからな。だが研究所はもぬけの空だ。それは保障する」
操縦している兵士が隊長に声をかける。
「隊長!海に入ります!」
「「海?!」」
全員が言った。
「研究所は移動式でな。その時陸とつないでいたが、ゾンビが出て行った後に陸から離したんだ」
「ああ、だから保障できるわけか」
「そういうことだ。だがたった一体のゾンビであんなことになるとはな」
おそ松たちは顔を見合わせる。
「おっさん、見たことないの?ゾンビ映画とか」
「映画?なんだ、それは」
「えーっ!ここ映画ないのー?!」
「ヴァーチャルビジュアルなら知ってるわ」