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狼少年と森の主

第1章 全ての始まり


かつん、かつん、かつん…と一人のグリフィンドール生が廊下を歩く音が響く。
彼、リーマス・ルーピンはホグワーツ3年生だ。現在彼は親友のジェームスに呼び出されて図書館へむかっていた。
「寒い…なんで図書館なんだ。」
季節は冬。冷たい風がひゅううとふくたびリーマスはぶるり、と身体を震わせる。
「ジェームスに後でチョコを奢らせなくちゃね。」
ぶつぶつと独り言を言いながら長い廊下を渡り、がらり、と扉を開けた。しかし…
「あれ、ジェームス達、いないじゃないか。」
図書館にはジェームスどころか人っ子一人いない。
よくよく考えれば『図書館で待つ。 J.P』と書かれた手紙があっただけだし、誰かの悪戯かもしれない。そもそもジェームスがよびだしたのなら、わざわざ図書館に行く必要がない。
「悪戯…か。」
悪戯にひっかかったとはいえ、折角図書館へ来たのだ。少し暇を潰してかえってもたいして問題はないだろう。
「…ん?なんだ、この本?」
どん、と長テーブルの上にこれでもか、というほど存在を主張する本は嫌でもリーマスの目に止まった。とても古そうな本。
手にとってみるとかなり古い本だとわかった。
「『親愛なるホグワーツ魔法学校の5人目の創設者に捧ぐ』…何これ?」
ホグワーツは歴史に残る魔法学校だ。だからホグワーツの創設者は魔法史で習うほど有名だ。寮の名前も創設者の名前でもある。
しかしホグワーツに5人目の創設者がいたなんて知らない。
そもそも5つ目の寮なんて存在しない。
(5人目の創設者って一体何者なんだろう?)
パラパラとページをめくっているうちにある一文が目に止まった。
『彼女は人ならざる者だった。』
「…人ならざる者」
彼女ということは女性なのだろう。
しかし彼女は人じゃない。
(僕みたいだ…)
僕も人狼だ。でもホグワーツに通いたくて人狼という事を隠しながら生活している。
きっと僕なんかと比べていいような人じゃない。けど彼女と自分をいつの間にか重ねていた。
『しかし彼女は人々に信頼されていた。彼女は偉大だった。
彼女は だった。彼女の名は 。
彼女は寮を の中に建てた。そこで彼女は 』
(あれ…)
彼女に関する説明がない。いや、正確に言うと白紙になっているのだ。
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