第3章 初対面
最初こそ、ファンタジーの世界に目が輝いた。
だが、その世界はとても悲しい戦争を繰り広げる世界だった。そんな世界で以前と同じように暮らせるのかと思えばそんなことはなく、3日も経つと頭は嫌でも冷静になって行った。
"元の世界に。家に帰りたい"と。
そう意識しだした瞬間、日が落ちれば与えられた部屋の電気を消して一人布団に潜り、目を瞑って必死に夢に落ちようとした。が、以前の様にはいかずに朝を迎える。
日が昇れば、隊員たちの"何もしていないくせにのうのうとよくもまぁ居られるな"という目が怖くて、食事が終わればすぐに自室に駆け込む日々を送っていた。
身寄りのない私を無償で置いてくれるここを管理している"ドクター"という人物は、慈悲に溢れていて優しい。その隣にいるウサギの耳を生やしたアーミヤという女の子も良くしてくれている。
気遣ってくれるのはいいが、身体は既にこの世界に対して拒否反応を起こしていて、最近は折角の食事をトイレに流してしまうことが多くなった。
ここにきて1週間。もう駄目だ、このまま酷な環境によるストレスに苛まれて死ぬんだ、そう思っていた。
自分の目の前に、天使が現れるまでは。