第1章 育った場所
わたしの1番古い記憶はこの街に売られてきたあの日だ。
『こんなゴボウみたいな痩せっぽっちいらないよ。どうせ商品になりゃしない』
『まぁまぁ、身体は汚いが顔は一級品さみとくれよ』
わたしを連れた男が、女にわたしの顔を見せる。
『その汚いガキ、あたしが育ててあげるよ』
ふとそこに今までと違う女の声がした。
『…蕨姫⁉︎』
『ダメなの?このあたしが育ててやろうってのに』
その女の顔を見てわたしは息を呑んだ。
なんで綺麗なんだろうか、こんな人がわたしを育てたいなんて何かの間違いじゃないだろうか?
そして違和感も感じた。人の温度ではない熱を感じる。
そんなことをわたしが考えているうちに話は纏まったらしく、蕨姫と言われた女と最初にいた女とわたしだけになっていた。
『あんた名前は?』
店の女将らしき女が問う
『』
『ふん、今日からあんたはあたしの妹だよ。ここでの名前はあたしがつけてやるよ。』
『ねぇさん?』
『悪くないね、あんたの名前は艶姫だよ。しっかり食べて柔らかくなりなね?』
そう言ってねぇさんはわたしの頬に触れ舌舐めずりをした。