第2章 過去編
特に被害が大きかったのは右翼だった。
右翼に生き残りが居るか確認のため、当時分隊長をしていたエルビィン・スミスが向かうと辺り一面兵士の死骸と血の匂いと巨人を討伐した後に上がる水蒸気でまるで地獄を見ているようだった。
その水蒸気の数からして相当な数の巨人がいた事が伺えた。
当たりを見回しても既に生存者は居ないと思えたその時、視界の隅に動く人影が見えた。エルビィンは馬から降りそこへとかけて行くと確かに1人生存者が居た。たった一人生き残った兵士の肩を揺すり呼びかけた。
エ「おい!!!!聞こえるか!私だ!エルビィンだ!!」
肩を揺すられてやっとエルビィンの存在に気づいたのかその兵士はゆっくりと顔を上げた。
『……ッ!エル…ビィン?』
その顔は確かにだったが彼女の瞳を見た途端エルビィンは固まった。
彼女は普段からとても澄んだ青色の目をしている。だが、今の彼女の目は光を失っていた。
エ「ッ!!……、生存者は君だけか?」
『……』コク)
エ「……そうか」
エ「…先程撤退命令が出た。…行くぞ」
『…』
2人はそれぞれ愛馬に乗り合流地点へと向かった。
先程までいた所には兵士の死体の数を遥かに上回る程の巨人の死骸があった。
その数なんと50
の班の人数は全員で4人だけだ。
しかし、だけが生き残った。
つまり、半数を彼女1人が討伐したこととなる。
これにより彼女が壁内へ帰還したと同時にその功績から人類最強の兵士と称えられた。
そして、内地にある憲兵団はより優秀な人材を確保したいため彼女を強制的に憲兵団送りとした。
翌朝、彼女の元に調査兵団から憲兵団へと移動命令が書かれた令状が届いた