第1章 始まりの章
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~プロローグ~
「この子は…どんな子になるかしら…」
「どんな子でもいいさ。元気に成長してさえくれるなら…」
フード付きのマントを着た二人の男女が、森のなかで小さな赤子を抱えていた。
真っ白な布にくるまれた赤子は、気持ちよさそうにすやすやと眠っている。
「この子をちゃんと、見守ってやりたかった…」
「この子の名前は、カエデ。オマエに似た優しい目をしている…」
「あなたと同じ緋色の、きれいな髪を持っている子よ…」
フードを深く被って表情は見えないが、わずかに見える頬に涙がつたう。
「…本当にこれしか方法はないのだろうか…」
「大丈夫よ。秋野一族はあなたの親友の家でしょう?信じましょう。」
そうは言いながらも、女が赤子を抱いている手は、かすかに震えていた。
「大丈夫なのだと、信じましょう…」
ザアァ,、、と強い風が吹いた
木の葉が舞い、木々が揺れる
風がやんだときにはもう、そこには誰もいなかった
数分後、とある家の前に緋色の髪を持つ赤子がある家の前で見つかった。 その家の人々はすべてを察し、赤子を家族として迎え入れた。
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