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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第18章  共に



ガサッと、茂みの間から刀を持った不死川が姿を現す。

そして地面に倒れている咲に気がつくと、慌ててその体を抱き起こした。


その時に不死川が上げた悲鳴は、悲鳴と言って良いのか分からないような、まるで空間を引き裂くような音だった。

「しっかりしろォ、咲!!今すぐ蝶屋敷に連れて行ってやる!!」

大きな瞳を真っ赤に血走らせ今にも落としてしまいそうなほどに見開きながら、不死川は羽織を咲の体に巻きつけて止血し始める。

その腕を、咲が掴んだ。

「しな、ず、がわ、さん…アイツを…アイツを逃がさないで…!私の、腕を、食って…きっと、もっと強く、なっている…!!ごめっ…な、さい……っ」

痛みで朦朧とする意識の中、必死に訴える咲。

「追っ、て…く、ださい!!お、願い、しますっ……!!」

苦悶に歪む咲の両目に、見る見るうちに大粒の涙が浮かんできて、血と汗と泥で汚れた頬に一筋の線を作った。

「早、くっ…!!」

「……ッ!!アアアアァァ!!」

荒々しい叫びとは裏腹に、不死川はそっと咲の体を地面に横たわらせると、

「すぐに戻ってくるからなァ!!だからそれまで、気をしっかり持つんだぞ!!」

と言って、咲が視線を向ける先へと姿を消した。





「カァーッ!カァーッ!!応援求ム!!下弦の壱出現ーッ!!」

はやてのように飛んできた鴉の鳴き声に、杏寿郎は顔色を変えた。

すぐ傍らには炭治郎、善逸、伊之助の姿もあり、皆同様に表情を固くする。

今宵、杏寿郎達もまた任務に赴いていており、何という幸いか、不死川達の戦っている山からほど近いところにいたのだった。

「案内を頼むっ!!」

杏寿郎が鴉に大声で指示を出し、一同は一斉に走り出した。

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