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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第18章  共に



炭治郎は、風に乗って流れてきたその匂いに、ふと振り返って雑踏の中に目を凝らした。

ここは人がたくさん行き交う街の中。

鴉からの伝令を待って、手持ち無沙汰に歩いていた時のことだった。

「煉獄さん!」

駆け寄ってきた炭治郎に、湯呑を片手に団子を食べていた杏寿郎は明るい笑顔を見せた。

「竈門少年か!久しいな!変わり無いか?」

「はい!煉獄さんもお元気そうで何よりです!」

「うむ!少年、時間があるなら一緒に食わんか?」

そう言って杏寿郎が示したのは、大皿に乗った山のような三色団子だった。

「わっ、すごい量ですね!」

ギョギョッと目を見開いた炭治郎であったが、鬼殺隊内で大食いと呼ばれているのは甘露寺だけではなかったことをすぐに思い出す。

「ありがとうございます!ではお言葉に甘えて」

そう言って炭治郎は団子の串を一本取ると、毛せんの敷かれた横長の椅子に腰を下ろした。

「うまい!うまい!」

と、相変わらずの大声を上げながら食べている杏寿郎の姿を見て、ふと、先日の藤の花の家紋の家での出来事を思い出す。

あの時、さつまいもの味噌汁を口にした咲が「わっしょいわっしょい」と無意識に叫んでしまって顔を赤くしていたのは可愛かった、と大切な思い出を語るようにして教えると、杏寿郎はむにゅむにゅと口を動かし、炭治郎が今までに一度も見たことのないような緩んだ顔で笑った。

「そうか!それは愛いな!俺もぜひとも見たかった!!」

ニコニコと笑う杏寿郎からはまるで花のような香りがして、炭治郎は鼻をスンスンと動かす。

「煉獄さん、とても幸せそうな匂いがしますね。何か良いことがあったのですか?」

「うむ!実は先日婚約してな!祝言はまだ先だが、俺はそれが嬉しいのだ!」

「わぁ!おめでとうございます!!ついに咲と結婚ですか~!!鬼殺隊をあげてお祝いしないとですね!」

「ありがとう少年!!」

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