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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第15章  離れていても君を想う



「なんだァ?それは?」

座布団に座ろうとした咲の腰元を指差して、不死川が言った。

今日咲は、いつものように不死川邸へと届け物のためにやって来ている。

そして例によって、不死川のご相伴に預かっていた。

「あ、これは…自衛のためにと、宇髄さんがお館様に提案してくださって、支給して頂いたんです」

そう言って咲は、腰元に装備した拳銃と小刀を外すと、不死川に手渡した。

「ほォ、こいつはなかなか凝った作りだなァ」

不死川は拳銃を手に取って、まるで空にかざすようにしてそれを仰ぎ見た。

咲の手の大きさに合わせて作られた小形の拳銃は、不死川の筋張った大きな手で持つと、すっぽりと隠れてしまいそうだった。

二人が今座っているのは、庭に面した縁側。

今日は天気が良いからと、ちゃぶ台と座布団を縁側まで引っ張り出してきて、日向ぼっこをしながら食べているのだ。

おはぎを頬張る咲の横で、不死川はなおもしげしげと拳銃を眺めた後、今度は小刀の方へと手を伸ばした。

こちらもまた、不死川の手の中にあると随分と小さく見える。

普段大刀を振り回している不死川の手が握ると、まるで小ぶりの包丁のようだ。

「どちらもまだまだ練習中なんですが、この間の任務の際に弾を鬼に命中させることができまして、少しの足止めくらいにはなりました」

義勇達と共に臨んだ任務で、不意に飛び出してきた鬼に発砲した時のことを咲は説明する。

「そうかァ。そいつは大したもんだなァ」

ニッと笑って不死川は拳銃と刀を咲の脇に置くと、そのまま手を上げて咲の頭をわしゃわしゃと撫でた。

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