第8章 【番外】ある日ある時
「おい!」
『おはようございます、兵長。』
ちゃんと起きているか、起きれているか、
確認する為に部屋の扉を開けると、どうやら脱いだ部屋着を畳んでいたらしいマリー。
よかった、どうやら立ち直りつつはあるらしい。
あの壁外調査からはようやく1週間が経過したところ。
医務室には未だ変わらず怪我をしたもの、恐怖で心を病んでしまったやつらが床を埋めている。
『今日は……雨ですね。』
そう言われて窓の外を見ると、雫が垂れて薄く曇る窓に浮かないマリーと自分の顔が映っていた。
昨夜からずっと降り続いている小雨が、未だに暗く明けない兵団の雰囲気を表しているようだ。
「チッ。支度が出来ているなら行くぞ。」
そう言って、横目にマリーがちゃんとついて来ていることを確認して扉を開けた。
『あ、待ってください!』
振り返ると、マリーは慌てて部屋に戻り何やらベッドの横の棚に向かっていた。
鏡を見ながら彼女が両手で器用に付けているネックレスには、シルバーの指輪が輝いている。
よしっと鏡に向かって口角を上げると、
またひょこひょこと小走りでマリーが出てきた。