第3章 彼女と彼ら
昼食を食べ終えたメリッサは、とりあえず教団を見て回ることした。一応リナリーに案内してもらったものの、まだ場所がきちんと覚えられていない。
―――それにしても、綺麗な人だったなあ…
先程、成り行きで昼食を一緒に食べた“神田ユウ”。名前はリナリーに教えてもらった。
ラビいわく、彼は日本人というものらしい。だからラストネームが先に、ファーストネームが後にくるんだとか。
神田は東洋人らしいが、メリッサにはそうは感じられなかった。顔立ちだけではなく、雰囲気とかそういうものだ。彼女には神田がまるで生き人形のように感じられた。
「…彼が綺麗過ぎるからかな」
「ユウのことか?」
隣から明るい声が聞こえ、メリッサは驚いたように彼を見る。
「…ラビ…?」
「これからちと書庫に行こうと思ったんさ。どっか行くのか?」
「うん…どこかに行くつもり」
「…それって決まってねえってこと?」
「それより…ラビのその目は怪我?貴方は何人?…たくさんの人種が入り混じってる?」
「お、おお?」
キラキラと好奇心いっぱいの目で見つめられたラビは思わずたじろぐ。前に会った時は大人しく品がいいイメージしかなかったが、どうも“父親”の血が騒ぐようだ。
「俺はブックマンさ。ブックマンつーのは簡単にいっちまうと世界の裏歴史を記録するみてーなのね!それから俺は混血さ」
「ブックマン…なるほど。ありがとう」
「んー。じゃあメリッサのことも何か教えてくれね?」
屈託ない笑顔を作って見せる。ラビの経験からして、これで大概の女子はドキッとくるはずだ。
「ええと…私に秘密なんてないけど…うん…ラビの赤毛、好きかな…」
精一杯の“秘密”だったのだろう。メリッサの眉は困ったように下がっている。
例えお世辞だったとしても、“赤毛が好き”と言われたのが何となく嬉しくなったラビは、お礼を言おうと口を開く―――
「クロスのおじ様の髪の毛みたい」
が、陶酔したようなメリッサの言葉に、思わず口を閉じて目を剥いた。