第1章 嘆きの声
「“嘆きの声”…ですか?」
「ああ。英国のある村で、毎晩誰かの嘆きの声が聞こえるらしい。探索部隊(ファインダー)が調査した結果、イノセンスの可能性が高いと判明した」
アレンの手にある資料には、「嘆きの声」についての詳しい情報と、今回同行するファインダーの名前が記されてあった。そして一番下に、
「協力者(サポーター)…。今回はサポーターがいるんですか?」
「名前はミス・ワグナー。任務中は彼女が面倒をみてくれるからね。クロス元帥とも面識があるらしいし」
「ゲ…」
クロスの名前を聞き、渋い顔をしたアレンに、コムイは思わず笑う。
「大丈夫。元帥はいないし彼女はいい人だからね」
「い、いえ…。その人のことではなくて、師匠の名前を聞いただけで…寒気が…」
修行の日々はよほど辛かったらしいと聞く。
なんでも、まだクロス元帥が残した借金があるとか。
「あああ…もしまた新しい借金が増えてたら…。考えただけでお腹が痛く…うう…」
真っ青な顔のアレンに、コムイは心の中で合掌した。