第2章 ー新開隼人の場合ー
「ハァっ、はぁ…ちょ、隼人ストップ…」
「ん?もうバテた?」
「それもあるけど…なんか今日変だよ?」
何かあった?と顔を覗き込めば罰の悪そうな隼人。私が気付かないとでも思ったのだろうか。明らかにいつもより行為が乱暴。
「わかったよ、ちゃんと話すから」
降参、と両手を挙げた隼人は私の上から退いて隣に寝転がる。そして一糸纏わぬ体をギュッと抱き締めると少しの間無言になって。
「今日さ、披露宴の歓談の時…」
「歓談…うん、その時どうしたの?」
「玲香オレの友人席にも行ってただろ?」
「うん。だって挨拶しなきゃでしょ?」
「それはわかるんだけどさ…ストレートに聞くけど、金城くんとはどういう関係なんだい?」
「え?金城って…真護のこと?」
「あーそれ、何で名前を呼び捨て?…もしかして元カレ?すげェ仲良さそうに話してたよな。金城くんのあんな顔初めて見たよ」
「ちょっと待って、元カレって隼人何言ってんの?ねぇ、落ち着いて?」
「はぐらかすなよ。やましい事でもあるのか?」
チラッと隼人を見上げてみればいつもの飄々とした様子はどこへやら。眉を寄せて苦しそうな表情にそっと手を伸ばせば頬に添えて。
「真護とは幼馴染なの。自転車に乗ってるって昔聞いたことあったけどまさか隼人の友達だったなんてびっくりだねって話してたの」
「金城くんと、幼馴染…?」
「うん。真護ね、新開は本気になったらひたすらにまっすぐな男だからしっかり支えてやってくれって」
「でもすげェ距離近かったよな?」
「え、そうだっけ?」
披露宴で真護と話していた時のことを思い出してみるけれど、隼人が言うほど近い距離で話した記憶はなく。よっぽど真波くんだっけ?彼の方が近かったんだけどな…
未だに納得してないような隼人は私を包み込んでいる腕に力を込めて。まるで私を閉じ込めるように離さないようにと。
「…ごめんな。今日は大事な日なのにな…でも、玲香がオレ以外の男とあんなに親しく話してんの見てたらすげェモヤモヤしてさ」
「ふふ、なんか隼人っぽくないね?」
「こら、何笑ってんだよ。オレが嫉妬深いの、知ってるだろ?」
今度は思い切り不機嫌そうな顔をしている隼人に思わず笑ってしまって。
笑ったお仕置きな、と不敵な笑みを浮かべた隼人は私の首筋に顔を埋めると長い舌を這わした。