第9章 約束したから
「石田の思う"大事"って言葉の意味は俺と同じでも、中身は違うから安心していいぞ」
茶渡くんの言葉に思考が停止して、固まってしまう。
中身が、違う? まて………まさかっ。
「安心って…………………!
そんなに、僕はわかりやすいかい?」
「別段どうってことはないが、今までの会話で分かった感じだな」
「…………………………………」
参った。
なるべく知られたくないと思っていたのに。
気恥ずかしいし、上手く石津さんの前で過ごせるようにしたかったんだけど。
悶々と考えていた僕に、茶渡くんは大丈夫だからと安心させてくれる様に肩を叩いてくれるのだった。
「誰にも言わないって約束したからな。俺は静かに見守るさ」
帰宅をして、寝支度を済ませて。
今日はたくさんの話をしたなと、ふと思った。
気恥ずかしいのはあるけど、黒崎や茶渡くんの言葉はやっぱりありがたい。
それだけ以前の僕自身とは、良い意味で変われているんだと知れたから。
明日からまた、自分の出来ることをしよう。
前向きに、そう思える夜は更けていった。