第7章 その日 口火を切る
後でいいと話したのだが、みなさんに背中を押されて脱衣所に放られた私は、しぶしぶ地下勉強部屋の温泉へ入浴する事にした。
浦原さんからのお達しで、霊圧の損傷が治る時までは、そこで養生する事に決まったのだ。
湯気が立ち上る温泉は以前と変わらず広大で、体が温まった事で落ち着いた心は、今日の出来事を自然と思い出す。
人を失うのが、私は怖いと話した。
大事な人を失くした哀しみを、石田さんは話した。
どちらも、負の感情を吐露した訳で。
でもあの時はただ必死に、自分の思いを言葉にして石田さんを見て、心に触れていたのも事実。
彼自身の苦しみや哀しみが、無くせないのは分かっていた。
ならばせめて、少しでも薄れてくれたらと願って。
「同病相憐むってやつかな………」
自分で呟いてみると、一体どうしてそんな事をしてしまったのかと思えて、なんとも可笑しかった。
目をぎゅっと閉じて、打ち消した感情。
それでも出てくる、石田さんの表情や言葉。
こんなの、まるでーー。
「………憐むとは、一体何をだ?」
思考が、ピシリと止まる。
私は驚きのあまり、盛大に悲鳴をあげることになる。
「く、朽木副隊長‼︎
後ろに立たないでくださいよっ」
「人を化物みたいに言うな!」
「世間様から見たら、私たち幽霊と同じですから化物と一緒なんじゃ………」
「………………」
「……………………っ笑うな、たわけめ」