第7章 その日 口火を切る
悲しくて、痛くて……蓋をしたはずの心が、どうしようもないくらい溢れた時、初めてこぼれるものがーー涙ならば。
涙と一緒に、気付かなかった本心もわかるだろうか。
「彼女が亡くなってから………ずっと心が痛くて苦しかった。
泣かない事で、全部に蓋をしてたんだと思う。
それが、大事な人を傷付けてるとも気付かずに………」
ずっと泣きたかったんだと気付けた反面、思う事はまだあった。
母さんの笑っているのに、泣いているみたいに見えた理由。
抱きしめられた腕の中が、少しだけ苦手だと思っていた理由。
泣くまいと必死に張り詰めた糸が緩んでしまう気がして、気持ちを、隠せそうになかったからだ。
母さんはーーもしかしたら、気付いていたのかもしれない。
ならば、傷付けてしまっていたはずだ。
言わないことで、どうして話してくれないのかと………悩んでいたら。
そう考えると、罪悪感で胸が軋んだ。
「それは………違うと思いますっ」