第7章 その日 口火を切る
「どんなに大切な方だったのかわかったから、その人を失って………どれだけっ、石田さんが悲しい気持ちにっ、なったんだろうって思ってしまいました…」
人の死は、誰だって悲しいもの。
自分にとって大事な人ならば、それは尚更でより深い。
石田さんの心を知って、だけど、それ以上に私の心が感じた想いがある。
彼の中にある、"哀しみ"。
張り裂けそうな辛さや悲しい想いを胸に抑えて、誰にも溢さずに隠し続けている。
でも、そんなの………おかしい。
失った人を悼む事は、すべからく与えられるはずのもの。
人にとっても、死神にとってもだ。
石田さんだって辛くて、苦しい想いがある。
なのに目の前にいる彼は、泣く事を耐え続けていたという。
その事が、私は1番辛くて悲しかった。
優しすぎる人ーーだからなのかもしれない。
それでも、泣いたっていいんだと思う。
悲しい気持ちを我慢したり、ましてや隠すこともしなくていいんだ。
それをちゃんと、石田さんの目を見て話したくて、涙を拭う手を止めた。
涙をぐっと堪えた意志のある瞳と、戸惑いながらも優しい真っ直ぐな瞳が、重なる。