第7章 その日 口火を切る
「それからは手紙でやり取りすることがもっぱらだったけど、久しぶりに会おうって約束をしたんだ」
「そうなんですね!きっとお話も弾んで、楽しかったんじゃないですか?」
「いや、その日は会えなくて………」
不自然に言葉をきった石田さんの、迷う様な視線とぶつかる。
あーーまただ。
自分の心臓が、ドクンッと嫌な音をたてた。
じわりと広がる、いいしれない緊張と不安をキツく握りなおした拳で、打ち消す。
私がそう感じているなら、石田さんはそれ以上に緊張しているのではないか。
そんな考えが浮かんだが、彼が話してくれるまで待とうと思った。
私が、石田さんの“向き合う“と言った言葉を信じているから。
見つめ返した視線に、石田さんはそっと瞳を閉じたかと思うと意を決した顔で、再び口を開いた。
「僕は彼女には会えなかった。ずっと待っていたんだけど、連絡もつかなくて………。結局、家に帰ることにしたんだ」
「いったい、何が………」
「ひとつだけ、確かなことがある」
「彼女は、その日ーー亡くなったんだ」