第7章 その日 口火を切る
『これ……もらってくれないかな』
『なあに? あけてもいい?
わぁ、きれいな紐だね!』
『離れちゃうし何かあげたくて、母さんに教わりながら作ったんだ』
『ありがとう!うわぁ〜本当にきれいだなあっ!
あ、こうすれば………よし!』
伸びた髪を結い上げた彼女は、どうかなって照れ顔で聞いてきた。
ちりんっと小さい鈴の音がして、探す様に視線が彷徨えば、それは髪紐のすぐそばにあった。
『無くさない様に鈴もつけてみたよ!』
『うん、似合うよ。しーちゃんにぴったりだ』
『わたしからも、いっちゃんにお手紙!
新しい町に行っても、たくさん書いて出すからね!』
手渡された手紙を、そっと受け取る。
なんだかさびしくなって、つい小さい返事を返したぼく。
『ありがとう………』
『元気出して、いっちゃん!
さびしいのは、わたしも同じなんだからっ。
笑ってね!』
『ぼくもたくさん書くよ、手紙っ。だから、さびしい顔は……やめる!』
うん!っと元気に頷いた彼女は、ご両親が待つ車へと走り出した………けれど。
ピタリと止まって此方に振り向いた。
『いっちゃん!!
今までいっしょに居てくれて……わたしと"友達"になってくれてっありがとーう!』
『………………‼︎しーちゃん…』
大きな声で彼女は言ってくれた。
驚いたけど、ちゃんと感謝を伝えたくて。
溢れそうになる涙を止めながら、ぼくも叫んだ。
『ぼくもっしーちゃんといれて楽しかった!
ありがとう‼︎………またねーーっ!』
『………またねーーー‼︎』
ずっと ずっと。
車が見えなくなっても、ずっと。
ぼくは手を振り続けた。
また会えるよって、気持ちを込めて。
だってぼくらは、"友達"なんだからーー。