第6章 手をのばすは夢の中
浦原さんが言っていたのだ。
『鳥の夢を何度も視る………ですか?
そりゃ石津さん、良い報せッスね!
近々何かありますよ〜。他にも意味はありますがね………大抵は吉夢の類って言われてます』
『他の意味………?吉夢なら幸せになる、とかでしょうか?』
『遠からずの当たりですかね。
まぁ夢ってのは、視る人の叶えたい願いだったり、ほんの少し先の未来に対しての御告げだったりするんっスよ。
………大事にしてください。
なんならその夢、アタシにも視せてほしいッス!』
『視れるものなんですか?!』
『一緒の布団に入って、後は寝るだけ。そして、夢をみれますようにってお願いするんですよ。
よく言うじゃないですか、夢は願えば叶うって!
………………あれ?
なんです、その駄洒落言っちゃったよこの人………みたいな冷たい目はっ!』
『一緒の布団に寝るって台詞からして、浦原さんにショックを受けてるんですよ………』
『信じてませんねー。なんならどうです、今夜。』
『…………結構です!』
" 少し 話は逸れたけど
そんな事を聞いたんだ
でね ひとつお願いがあるのーー"
真っ直ぐに見つめる鳥に向かってそう声をかけると、まるで意味を理解したようにピィッと一鳴きした。
そして羽を広げて飛び上がり、小さな姿は夢の中で姿を消した。
きっと、私の願いを聞いてくれたのかもしれない。
何故だか、そう思った。
そうして、夢の中での自分の意識が遠退く感覚がして、深い眠りへと変わっていった。
一羽の青い鳥が飛ぶ。
彼女と縁ある幾人もの夢を渡り、世界の境界線すら超え、ソウルソサエティにも。
その日、鳥の夢を視た者は沢山いたのだ。
そして彼女の細やかな願いは、叶った。
"私の大切に思う人に 少しでもいい
幸せが訪れます様に"