第3章 響く音はひろがりとどく
白い月が浮かぶ夜空
広大な白い砂漠と石英のように硬い物質でできた枯れ木が広がる。
耳に痛いほどの静寂。
白と黒の世界。
ここは、虚圏[ウェコムンド]
虚達の世界。
裂かれた空から崩れ落ちる二つの影。
ズシャリと砂地に体がぶつかる感覚があった。
「………無事カ、エスドっ」
「仮面の損傷ガ酷いヨ…スェルス」
向き合う二体の虚。
姿形はまるで大蛇の如く。
「奴ラ………やっテくれタネ!」
「いいサ。どうセこの傷ノ礼は必ズするンだ。」
それニ
彼奴ラは 知らナイ
俺達ノ目的
その時ガくルまで
傷ヲ癒して 虚ヲ喰べテ
力をツケるんダ
「女死神………アイツ…」
「喰ってヤル」
「「今度こソダ………!」」
ニタリと笑い合うふたつの影は、静かに闇夜の中に消えた。