第2章 事件
潤said
「じゅーん!一緒に帰ろー!!」
「帰らねぇよ!お前とは!」
「なんだよーー!いいじゃんかぁ。釣れねぇなぁ。」
大野に出会った翌日の放課後、俺が校内を出た瞬間に隣にこいつが現れた。
ビックリして飛び上がり尻もちをついたのは、つい先程の話だ。
すぐさま俺を起こして、俺の腰に手を宛てながら先導するように歩く。
で、文頭の言葉…
何回か無視してたんだけどその声は鳴り止まなかった。
「俺、寮だから。」
「送るよ!てか部屋となりにしてもらう!!」
「ふざけるな。」
「てかあんた、大野の息子だよな?大野護の。」
無視しても追ってくる大野に話しかける。
「うん、そうだね。」
「それで俺を主に…って思ったのか?
松本家の後継者は俺だから?」
こいつの父親は俺の父の執事であり忍びだ。
代々青家の忍びは俺らのような巨大企業に就くことが多く、
中でも大野姓の忍びは、松本家に就くことが多く関係が深い。
だから、こいつが俺のことを「主」と思っても納得がいくのである。
でも…
「関係ないよ、俺は。ずっと前から潤の側近になるって決めてたよ。」
「え…?でも…お前、俺に会ったことあるのか?」
俺が何気なしにそう聞くと、大野は少し悲しげで、でもとても優しい目をした。