• テキストサイズ

御曹司と忍び 【気象系BL】

第1章 出会い



ゴゴゴゴォォォォオオーー


大野のその一言で、辺りに台風のような強い風が吹き始め、空が分厚い雲に覆われて暗くなった。


「ひっ…」

つい小さい悲鳴を上げてしまう。


怖ぇーーーーっっっっ!!!


鬼より鬼みたいな顔で大野を睨みつける男。


頭上でゴロゴロと聞こえてくる。

いつカミナリが落ちてきてもおかしくない…


それに気づいてるのかいないのか、大野が追い打ちをかけた。

「邪魔だから帰って。」


ドォォーーーーーーン!!


「大野おおぉぉお!!!!」



カミナリが落ちて30分後。

みっちり大野に説教した男が、再び大野の首根っこを掴んで歩み寄ってきた。


逃げ場のない壁に俺が後ずさると、その男が大野を睨む。

「ビビってんじゃねぇか!」

「松兄が悪いんだよ。」

二人は俺の前で立ち止まった。

「怖がらせて悪かったな。
俺は松岡、この学園の教師だ。」

「あ、は、はじめまして。松本と言います。」

「なるほどな。お前があの松本か。よろしくな。」

少し考えるように俺の顔を見て、手を差し伸べてきた。

俺はしっかりその手を握って握手を交わした。


「ん。お前も授業中だから早く戻れ。」

「あ、はい。でも戻り方わかんなくて…」

「お前、無理やり連れてきただろ?」

ギロリと大野を睨む先生。

「いや、だっておいら潤の側近だし!傍にいるの当たり前じゃんか!」

そう言って、な?っと俺に助けを求めてくる。

「って大野が言ってるけど、どうなんだ?」

「まったく身に覚えがありません。」

「潤!!」

先生が再び鬼の形相で大野の方を向いたのを確認してから、こちらを恨めしそうに見る大野に「べーー」っと舌を出してやった。


そもそも無理やりだしね。


その後、大野がこっぴどく叱られたかどうかは定かではない。
/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp