第6章 誰のせい? ジェイド・リーチ
「僕にそそのかされたと言えば大丈夫です、貴女のせいではないですからね」
「そんな…でも…」
どんどん顔が近づいてくる。
もう考えられる余裕なんて私にはなかった。
「やられっぱなしも気に入らないでしょう?彼はしていたのに、貴女が許されない理由があるんですか?」
「そ、それは…」
「全て僕のせいにしてくださっていいんですよ、貴女のことを好きな僕のせいに」
好き…?
その言葉に動揺した瞬間、唇が重なる。
腰に手を回されて身動きが取れないようにされて、何度も角度を変えながらキスをされる。
鼻を摘まれて、息が出来なくなった私は、口を開けてしまうと、その隙間に舌が侵入してきた。
唾液が舌で掻き回される音は弱っている私にはあまりにも官能的で頭がクラクラする。
息が苦しくなってきて、ジェイド先輩の胸を叩くと、唇が離れた。
「すみません、少しいたずらし過ぎてしまいましたね」
「うぅ…先輩のバカ…」
彼を裏切ってしまった事への罪悪感が胸に広がる中、別の感情も胸に広がっていく。
その感情が大きく膨れ上がって制御出来なくなってしまったら駄目だ。
ー私はまだ彼のことを好きだから…
「さん、どうやらもうそろそろ会議の時間のようですよ」
ジェイド先輩は何事も無かったかのように涼しい顔をして腕時計を見る。
「…分かりました」
一方の私はジェイド先輩が放った言葉がずっと忘れられないでいた。