第1章 眠っている貴女を ジェイド・リーチ
「お待たせしました」
私の目の前に、バターがよく香るパスタが置かれた。
「あの…この、緑色だったり赤色のきのこは…?」
「すぐそこの裏山で採れたきのこです。ちゃんと食べれますよ」
ジェイド先輩はにこやかな笑みを浮かべる。
確実に人間界では食べたら死ぬ、と言わんばかりの鮮やかな色合いでフォークに刺したのはいいものの、口に入れるのを躊躇ってしまう。
「ほらほら、一気にどうぞ!」
「むぐっ!」
ジェイド先輩に一気にフォークを押し込まれ、えづきながら私はきのこを口に含んで咀嚼する。
ーあ、意外と…いける?
ゆっくりときのこを噛んでみると、じゅわりときのこ本来の味が染み出してきて意外と美味しい。
私が驚きに目を見開いていると、横にジェイド先輩は腰をおろしてきた。
「どうです?美味しいですか?」
「はい、美味し、い…で、す…」
急に視界がぐらついてきて、激しい眠気に襲われる。
瞼が強制的に落ちてきて、手に力が入らなくなり、フォークが床に落ちる音がした。
視界の隅でジェイド先輩が不敵な笑みを浮かべていた気がした。