第4章 薔薇を塗ろう トレイ・クローバー
私は胸の中が暖かくなった。
トレイ先輩が私の事、妹みたいに思ってくれてるんだ…
でも、暖かくなったと同時に苦しく締め付けられもした。
言わないといけないことがある。
「トレイ先輩、実は…帰れる鏡が見つかったんです」
静寂が流れ、トレイ先輩のカップとソーサーがぶつかる音しかしない。
私は服の裾を握りしめた。
「そうか、良かったな」
トレイ先輩は目元を綻ばせて微笑んでくれた。
「明日にでも帰ろうと思ってて…その、やっぱり寂しいじゃないですか、みんなと離れるの。だから誰にも言うつもりはなかったんです…でも、トレイ先輩には言っておきたくて」
「確かに…少し寂しくなるが、みんなお前が帰れるのを喜んでくれるよ」
ー俺以外のみんなは