第3章 リンドウを貴女に ジェイド・リーチ
暗くてよく見えないが、水色の髪の毛にたらりと長い黒い1束の髪。そして耳元に揺れるピアス。
その人の足元には金色の私が見つけた鏡とがあり、真ん中に穴が空いていた。
「え…どうして…」
絶望のあまり掠れた声しか出なかった。
鏡を割った犯人と思われる人が私の方につま先を向けた時、鼓動は暴れだした。
暗い中でぼんやりと光る金色の瞳。
歪んだ口元から見える特徴的なウツボに似た歯。
「ジェイド…先輩…」
「こんばんは、監督生さん」
ゆっくりと踵の鳴る音が近付いてくる。
息が上手く出来ない。
視界が揺らいで、立っていられなくなると、私はその場に座り込んでしまった。
「知ってたん…ですか」
音が止み、目の前に黒いつま先が見えた。
「えぇ。知っていました」
降りかかる優しい声が今日は大嫌いだ。
私はどうにか泣かないでおこうと、裾を強く握りしめた。