第16章 囚人のワガママ レオナ・キングスカラー
「整列の時間に遅れている。さっさと来い」
「嫌だね」
「お前はいつもそうして…!」
叱りつけてやろうと思った私の口が止まる。
キングスカラーは耳をぺしょんとさせて、しっぽを床に投げ出していた。
急に寂しそうな雰囲気を出してきて、私は罪悪感に駆られる。
ダメだ流されてはならない。
私は頭を横に振り、キングスカラーを睨みつけた。
「良いから早く来い」
「お前は無実の奴にもそんなことをするのか?」
声音が弱くなる。
「…キングスカラー、罪はなんだ」
「反逆罪だ、でも俺はそんなことしちゃいねぇ…」
第2王子。
ただそれだけの立場でもしかしたら彼は謀られたのかもしれない。
確かに王族が何も騒ぎ立てないのも不自然だし、本当に陥れられているだけなのか。
「…私に言われてもそんなことは知らん。助けが来るまで待っていたらどうだ…って、どうした!キングスカラー!」