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 醒めない夢を 【短編集】【R18あり】

第16章 囚人のワガママ レオナ・キングスカラー


「整列!」

囚人たちが廊下に1列に並ぶ。
ここは世界的にも珍しい男女混合型の収監施設だ。

「138番、139番…140番はどうした」

私は1人分のスペースが空いた空間を見つめる。
背後にいる部下に尋ねると、知らない、と首を振る。

「また寝てるのか…?」

思わずため息が出る。
夕焼けの草原の第2王子とはいえ、このような愚行は許されない。
他にも目に余ることはたくさんあるが、私は職務を部下に託して140番の部屋へ向かった。
普通、男性囚人には男性看守が担当するものなのだが、私は敏腕看守として認められ、こうして女性看守ながらも男性囚人を見ることが稀にあった。
140番がいる牢獄につくと、私は荒々しく柵を蹴る。

「起きなさい!140番、キングスカラー!」

艶々した黒髪がさらりと揺れ、気だるそうにキングスカラーは上半身を上げて、あくびをし、ボリボリと頭を掻いた。

「チッ…うるせぇな…」

ギラつく緑色の瞳が私を睨みつける。
美しい顔立ちの中に何処か野性味を感じ、まるで自分が食べられる餌側に回ったようだ。
でも違う。
今あっちに自由はない。
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