第2章 愛のカタチ トレイ・クローバー
「お前はほんとに健気で可愛いな…」
「トレイ…先輩…?」
頬を片手で包み込まれ、すりすりと小動物を撫でるように触れられる。
トレイ先輩は私をじっとりと細めた目で見つめていた。
「自分の体が今どういう状況かも、目の前にいる先輩がどんな男かも知らないで」
トレイ先輩の顔が鼻が触れそうなくらいに近づいてくる。
いつの間にか手を絡めていたトレイ先輩の手が腰に回っていた。
「トレイ先輩は優しい先輩ですよね…?そうですよね?」
怖い。
いつも瞳には優しい雰囲気があるのに、今は黒くて曇っている気がする。
「それは間違いだよ、」
「んんっ?!ん、ん〜!」
トレイ先輩と私の唇が重なっていた。
暖かくて少しカサついた唇が何度も何度も角度を変えて重なる。
後頭部と腰をがっちり固定され、私は身動き1つ取れない。