第11章 メイド服を脱がせて レオナ・キングスカラー
その後パーティーは予定通りに進んだ。
レオナ様はと言えば、花嫁の有力候補の1人であった果実の国のアンジェリーナ姫と和やかに踊っていた。
オレンジ色のドレスが眩しい。
運命は残酷だ。
ー私だって、貴方と…踊りたかった
いくら想いが強くとも叶わない願い。
胸が締め付けられ、目頭が熱くなってくる。
すると、涙が頬を一筋流れていった。
「すいません、御手洗に」
近くにいた同僚メイドにそうとだけいうと私は御手洗に向かって走って行く。
「きゃっ!」
前を見ていなかったせいで誰かに思いっきりぶつかった。
私は派手に尻もちをつくと、視界にオレンジ色のドレスが入った。
「あらら…大丈夫かしら?」
柔らかい声にフレッシュな柑橘の香り。
「アンジェリーナ様…!大変申し訳ございません!」
私は跳ねるようにして立ち上がり、精一杯のお辞儀をする。
アンジェリーナ様は目じりを下げて微笑む。
「わたくしのことは気になさらなくて結構。ご自身の状況を気にしてみては?」
アンジェリーナ様が手に持っていた扇子を広げ、口元を隠す。
嫌な予感がして、後ろを振り返る。
「腹が立つのよ、貴女」
低い声が聞こえたのを最後に私は視界が真っ暗になった。