第9章 甘え 【女ヶ島へ】
「お前さんは、確か“鷹の目”のとこの…?」
「私のことをご存知なんですか。さすがジンベエさん」
ジンベエは元・七武海。今回の戦争で七武海の地位を剥奪されたらしいが、アルコがミホークと共に行動していたことを、どこかで目にしたことがあったのだろう。
「いつも持っとるその大きな楽器が、印象的じゃったからの…。助けてくれて、本当にありがとう」
ジンベエはベッドの上に座り直し、手をついて頭を下げる。
「や、やめて下さい! 私は何も……お礼ならロー達に言ってください」
「しかし…ローどのは、お前さんの“男”じゃないんか?」
「………………………そんなバカな」
─── 盛大な勘違いをされている。隣の部屋で二人で寝起きしてるからか。でも何もヤッてないのもわかるでしょーよ。
「違います。
ローとは、そんな関係じゃないです」
「そーじゃったか。しかしまぁ………そうか」
「…………優しいんですよ、彼は。本当は」
「ああ、そうじゃな。
なかなか“侠気(おとこぎ)”があって、ええ男じゃ。不器用そうじゃが」
「本当、ねぇ。
しかもああ見えて甘えん坊っぽくないですか? この前なんかも………」
和やかな会話に不穏な気配が近づいてくる。
ゴゴゴゴゴゴゴ………
ダッダッダッダッ……
ガラガラガラッ!!!
「「!!!」」
うつむいたローが ずかずかと部屋に入ってきてアルコを押し退け、乱暴に音をたててホーンにふたをする。
「てめェら……」
眉間にシワを寄せ、凄んでくるロー。能力を使って飛んでくることさえ忘れるくらい慌てていたのか。アルコとジンベエは腹をかかえて笑った。
その後 ────
“女ヶ島”に着くまでの間、ローはニヤニヤした顔をクルー達から向けられていたことは、言うまでもない。