第9章 甘え 【女ヶ島へ】
『たとえルフィが目覚めずとも
“心”を置き去りにしようとも
ルフィがルフィでなくなろうとも』
ソファに重い頭を預けていると
ハンコックの言葉が脳内に響き
その時の笑顔が思い浮かんだ。
もろくて
今にも壊れそうで
でも 強くて
美しい 笑顔
その顔は、かつての母と重なった。
アルコの知る限り、ミホークの腕の中でのみ 少女のような顔となった母。
会ったこともない父親に同情した。
その母は11年前、『珀鉛病』で死んだ。
おじさまは母の亡骸に向かって言った。
「『病気』には負けたが、『呪い』には勝った。お前を……誇りに思う」
母は『呪い』に勝ったのに…『死んだ』?
まだ幼さの残るアルコには、何の事だかわからず、ただ『呪い』という言葉だけが自分の中に刻まれた。
母から受け継いだ『呪い』
いつか発症する『呪い』
それからはアルコは必死に生きた。
無茶をして
強さを求め
剣を振り続け
竪琴をかき鳴らし
遊んで、恋をして
*
5年前のある日
腰のあたりに白いアザをみつけた時────
アルコは『生きる』のをやめた
『呪い』が発病したから
強さも 高みも 目指せない
信念も 意味はない
仲間を求めることも 求められることもない
もう 恋もできない
愛されることも ない
ただ、死ぬのを待っていた
その様子をみたミホークは、アルコを連れてクライガナ島に移り住んだ。
シッケアール王国跡
閉ざされた日々
時折、放浪に出かけるミホークに同行することもあったが、ただそれだけ。
アルコの心は死んでいた。
“あの男”に出会うまでは