第31章 arousal
──── 2週間後
パンクハザード島
研究所
A棟 2階 調理室
冷たい床に、規則的なリズムで靴音が響く。
ローの持ったトレイには、温め直した大きな鍋から注いだスープが入ったカップとスプーンが乗っている。
調理室を出たところで、ローは靴音を止めざるを得なかった。
ローの前に立ち塞がった その女は、彼の持っているトレイを見下ろして 冷たい目を細めた。
「ひとつだけ?」
「…何が言いたい」
「フフフ…、まだ起きないの? 彼女は」
「何がおかしい」
ローは女を鋭く睨む。
「つまらねェ詮索はするな。そう言ったハズだ」
「まぁ、怖い」
その女は足音をさせない代わりに バサバサと羽音を響かせながら、廊下の隅に避け、ローに進路を譲った。
「“M(マスター)”に診てもらったら? 科学者としての腕は本物よ」
「……」
ローは再び規則的な靴音を鳴らしながら、自室にしているR棟へ続くフロアへ戻っていった。