第28章 甘いもの
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翌朝
ほとんどのクルー達は、早朝から獣狩りに出かけて行った。
ローも静かに刀を担いで島へ出かけていくようだ。アルコはその背中を呼び止める。
「ローも行くの? 獣狩り」
「まァな…」
「? じゃあ、私も」
「アルコ!」
アルビダがアルコを呼び止めた。その傍らには、屈強な男をひとり連れている。
「ちょっと手伝ってくれよ。金が欲しいんだろ? 小遣いはやるから」
「あまり こき使うな。コイツは…」
「大丈夫だよ、ロー。無理は しないから。タダ飯 食べてる訳にもいかないでしょ」
アルビダの従えていた屈強な男は、船大工だった。無人島で手付かずのこの島にはいい木材になる木が生えているらしく、木材を切り出すのを手伝って欲しいと言われた。アルコの斬撃を間近でみていたアルビダの提案だ。
ローは「あまり無理するな」とだけ言って、ひとり山の中へ入って行ってしまった。
男から目的の木の特徴を教えられ、角材と板材を30本くらいずつ作ってくれと頼まれた。
「やってくれたら金ならちゃんと払うよ。昨日奪ったのとは別に。約束する」
「アルビダさん…、よければ お金より欲しいものがあるんですが…」
「? なんだい??」
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斬り倒した木の皮を剥いで、同じ長さや厚さにスライスしていく。
アルコは軽く汗をかきながら、ひとり大剣を振るっていた。
なかなか難しい
集中力も必要…
修行みたいなもんだ
細かい剣技に対して苦手意識があったけど、ミホークの元を離れて実戦を積んでいくうちに、少しは上達したように思う
ミホークの圧倒的な剣技
学べることは山ほどあるが、自分との距離がありすぎて“自分事”として観たり吸収したりするのが難しい面がある
それに対して、ゾロやローの太刀は ────
ミホークよりは 少し“身近”に感じられる二人の男。二人とも志を持っていて、どんどん成長していく。そんな二人の闘い方をそばで観て、学びや発見がたくさんある。
『剣士』としても
『男』としても
タイプの違う二人
ねぇ、おじさま
ゾロも今ごろ おじさまの元で
さらに 強くなっているんだろうね
アルコは剣を握り直し、木材を横に削(そ)ぐ作業に集中した。