第27章 価値観
船は大海原へ向けて出航した。
アルコはユナに向けて竪琴の音を響かせた。ローはその後ろ姿をただ見守っていた。
「お父様…、わたし、大丈夫です。“儀式”には出ます」
「しかし、そんな『くだらない』こと。やめさせるために、私は大僧正になるのだよ」
「…いいえ。
この島が生きていくためにも…。それに、突然の変革は受け入れられないかもしれない。娘のため、と言われては、お父様が島民からの信頼は得られません。
わたしなら…大丈夫です。
だって…」
ユナは小さくなっていく竪琴の音色に耳を澄ませた。
『すきなひとに
こうされるのは
すごく
きもちいいんだよ』
息も絶え絶えに、耳もとで ささやかれた言葉を思い出すだけで、ユナは身体が熱くなった。
わたしは 大丈夫
“儀式”で誰に抱かれても
『あなた』に抱かれていると思えば
───── アルコさん
そんな彼女の気持ちを知らず、ローとアルコは『聖(セント)・バージン島』を後にした。