第25章 high sensitivity
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12年前
シルバーは、いつものように漁に出た。
孫のアイビーと海王類の“ジブラ”を伴って。
なんの予兆もなかった。
その朝は、なんの予兆もない、普段と変わらぬ朝だった。
海はいつもと同じように、雄大で、きらめいていて、恵みに溢れていた。
少なくとも、シルバーの目にはそう写っていた。
近海で、いつもと変わらぬ漁をしていた。
網を下ろすシルバー。
“ジブラ”と戯れるアイビー。
突然、シルバーの曳いていた網が重量を持つ。
海底に捕らわれたかと思ったほどの抵抗で、シルバーは思わず手を緩めた。
しかし、旋回するように暴れるロープは、大物の魚がかかったことを示していた。
「コイツは……、でかいぞ!!」
今までで一番の大物かもしれない。
興奮した様子で網を船の縁に引っかけて踏ん張る。
「スッゲェー! スゲェ!! じいさん、ぼくも……」
「イヤ、コイツは危険じゃ! 手を出すなよ、アイビー。腕を持っていかれるぞ」
恐ろしいことを言うシルバーの顔は、子供のようにワクワクしていた。
長い闘いになるだろう
しかし、必ず釣り上げる
シルバーはアイビーを制して、深い青緑色の奥にいる未知の生き物との対決に腹を括った。
「クェー、クェッ! クェッ!!」
「あぁ、頼むぞ。
お前とアイビーは、いつも通り応援してくれりゃいいんじゃ。そうすれば、わしに“負け”はないじゃろう」