第3章 金のために【シャボンディ諸島】
(え?)
視線は動かしていない。
視界の端には男の手を捉えたままだったはずだが、いつのまにか男の手には小花柄のストールが握られている。薄い紫色の高級そうなものだが、明らかに女物だ。
観客から盗んだの?
今?
何の手品?
そう思った瞬間───
ぽいっ
それは、アルコの膝の上に放られた。
驚いて少し首を動かし男の顔を見るが、男は先ほどのニヤついた表情のまま。何も言わずに、今度は頭の後ろで両手を組み、のけ反るような体勢をとった。
アルコも無言で前を見据えたまま、ストールを首に巻き、後ろ手で結ぶ。
髪をまとめるのに使っていた一番大きなピンを外し、 結んだストールで破れたドレスを固定した。
ピンが外されたことで髪がほどけ落ち、愛用の石鹸の香が漂う。
その匂いで昨日までいた安宿が思い出され、あの時 今の状況を予想できなかった自分を悔やむ。
──── なんなのよ この男
油断は、できない。
自分の未熟さが招いた状況だ。
ギリギリまでは気丈に振舞おう、とアルコは決意する。
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オークションは進む。
ついに『目玉商品』である人魚が登場し、天竜人が5億で競り落とした。
直後、会場を破壊しながら現れたルフィたちによって騒動が起きる。
ルフィが人魚、魚人を守るために天竜人を殴り飛ばし、会場は騒然となる ────
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