第18章 それぞれの治療
「一番アザを残したくない場所は、どこだ」
安定した航海の途中。
ローに傷の治り具合を確認された後、2ヵ月ぶりに珀鉛病の治療をすることになった。
ローの能力で体内の珀鉛を取り除く治療。
始める前に、今までされたことのない質問をされた。
「え、どういう…、意味?」
「逆に アザが残っても気にならないところは、どこだ。今日はソコをやる」
「残るかもしれないってこと?」
「………いや、まぁ
………まだわからねェ」
「……………」
いきなりそんなことを言われても。
11年前、母が珀鉛病で死んでから、少し遅れて自分も発症した。
発症したのは5年ほど前になる。
気づかないうちに増えていく白いアザから、近づいていく『死』を感じていたので、自分の身体を直視しないようにしてきた。
現実をみないようにするために。
なので、実際に自分の身体のどこにどれだけのアザがあるということをあまり把握していなかった。
『どこなら残ってもいいのか』
なんて、答えようのない質問だった。
「顔に」
「…」
「顔に、新しくできた、かも」
どこだ、と言うローにアゴをあげてほほを突き出す。この辺?と言って下ほほを指す。
息があたる距離。
近い、近い。
「全然わからねェ」
「化粧してるからね」
顔にアザができていることに気づいたのは潜水艦に戻ってきてから。
ペローナにもらった化粧品を使って隠すようなメイクをしている。彼女は新しくできたこのアザに気づいていたから、濃いめの化粧品を持たせてくれたのかも。
「なら、ココは後回しだ。気にならねェところは」
「……どこでもいいよ、テキトーに」