第3章 金のために【シャボンディ諸島】
シャボンディ諸島
1番GR グローブ
オークション会場
*
15時。
オークション開始 1時間前。
アルコは、オークション会場の舞台上、上手(かみて)に用意された椅子に座り、竪琴を奏ではじめた。
いつものラフな格好は一変し、タイトな黒のロングドレス、同じ素材の黒のロンググローブ。
髪はすべて まとめあげられている。
安っぽい布でできたドレスだが、遠目にはわかるまい。
開場直後の階段状のホールには
途切れることなく人が降りてくる。
あっという間に前方の座席はほとんど埋まった。
大きなホールに ざわつきと竪琴の音が響き渡る。
アルコは観客席を見渡す。
笑い声。
おしゃべり。
座っておしゃべり。
立って通路でおしゃべり。
─── 下品な人たち
でも、ここで小銭を稼ぐことを決めたアルコも、品があるとは言えない。
賞金稼ぎについて本気で考えていた 昨晩。
長めの鍛練を終え、安宿でシャワーを浴びた。
─── 何のために剣を振るうんだろう
“海賊狩り”と称されていたゾロは、行動を共にしてみると、どうも金のために剣を振るっているようにはみえなかった。
悪いヤツを倒し、海軍につき出すことに、ためらいはない。
── 悪いヤツ?
『七武海を倒した 凶悪犯 “麦わら”の ルフィ』
『“海賊狩り” ゾロ』
世間的には『悪いヤツ』の彼らの本当の姿を、アルコは知っている。
── 悪いヤツは、どうやって選ぶんだ?
シャワーを浴び終えて、髪をごしごし拭きながら考える。
かぎなれた愛用の石鹸の匂いが広がり、安宿の部屋の匂いが少しは気にならなくなった。
机の上には、シャッキーが持たせてくれた昨日の新聞。ふと、新聞からはみ出たチラシが目に留まった。
ちょうど明日、ヒューマンオークションが開催され、その前座として余興を披露する旅芸人を探しているらしい。
─── さて、金のために 剣と竪琴 どちらを振るうか