第14章 分岐
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「ワイン買ってきたから。食事作るわ」
石壁がむき出しで辛気くさいが馴染みのある城内。
食堂にしているホールへ向かい、これでもかと言うほど何本も竪琴くくりつけたワインを取り外す。ビールは いまいちだがワインはそこそこの常夏の島で買ってきたお土産だ。
「いや、食事は……用意してある」
「そうなの? 嬉しい」
「私がな!!」
ピンク色の髪のポップでゴシックな女の子が声をあげる。
「お前! 自分が作ったような言い方しやがって!!」
彼女はペローナ
ホロホロの実を食べた能力者
“ゴーストプリンセス”と自称するその姿は、アルコより よっぽどこの城の住人らしかった。
七武海………いや、元・七武海 ゲッコー・モリアの傘下だが、なぜかこの城にいついているらしい。
モリアを慕うペローナ
ミホークを慕うアルコ
境遇が似ているからか、アルコが出ていって寂しかったからか。迷惑そうにしつつも、ミホークはペローナを本気で追い出すことはしなかったようだ。
汚い言葉と鋭い言葉で言い合っている二人は、仲が悪い訳ではなさそうだった。
「にぎやかになったね」
にこやかに二人を眺めながら、ペローナが作ってくれたサラダをキッチンから持ち出す。
「うるさくて かなわん。ああ、それと……」
「?」
振り向いたため、キッチンの出口に何かあるのに気づかず、何かにぶつかった。
緑色の頭 ────
「よお。おかえり」
「ゾッッ────?!!?!」
そこにいた、あり得ない人物に名前も呼ぶこともできないほどに混乱した。
落とした皿をキャッチして、驚いただろうと言いたげで得意気な顔しているゾロ。
「え?! なんで………だって、ゾロは。
おじさま、何。そんなこと…ある訳が。
ハァ?!! ゾロ、あんた、あの時あれだけ…………!!!」
「くくく………………、
ハッハッハッハッハッハッ…………」
天井を仰いで豪快な笑い声を響かせるミホーク。
──── ああ、そう言えば
おじさまも『男』だったね
世にも 訳わからん、『男』
頭を抱えて困惑するアルコに、ペローナは「お前、まとも そうだな」と嬉しそうにフワフワとつきまとった。