第11章 プライド
お互いの気持ちを知らずに、先に不安になったのはアルコだった。
ちっとも腰を押し進めないことに、萎えたのかと疑い始めた。
『無理なら、やめよう』
そう言ってあげよう
「あの ───」
そう言いかけると、口一は話しかけんなとばかりに、アルコを鋭く にらむ。
怖い
とてもじゃないが、今まさにセックスしている相手に向ける眼差しではない。
「っ ───!!」
アルコが謝ろうとした瞬間、口一がガバリと覆い被さる。シーツ越しの密着の上から、口一が先に謝罪した。
「悪ィ。無理だ」
その言葉に腰がゆるんだ。
しょうがない
『こんな身体』によくぞ ───
「!!!!!?」
直後、突然始まった激しいピストン
「んあっ?!! …っ………ちょっ………!! んんっ! …………んはっ………はっ……、………イっ!!っくっ………!!」
ひと突き目は、強引に
ふた突き目には、愛液をまとい
み突き目からは、身体の芯に快感が突き抜ける
混乱の中、突然与えられたぞわりと満たされるようなの刺激。奥までの強すぎる触発であっという間にアルコは痙攣を迎える。
絶頂に達しきって身体の強ばりが抜けないまま、それを無視されて続く激しい揺さぶり。重い筋肉がのしかかり、押しつけるような動きに変わる。直後、口一は身体を離し、シーツの上に白濁した精を飛び散らせた。
激しい吐息だけが響く。
アルコは何が起きたのか、理解できなかった。
急に空になった膣の、虚しい痙攣の余波がおさまるのを待って、シーツを胸元に握りしめ、上半身を少し起こす。
(?? イき、なさったのか………?!)
無理って言ったんじゃ ───
ギロリ
再び口一に鋭くにらまれ、ビクリとする。
「待て」
「え」
「みてろ、おれはこんなもんじゃねェんだ。もう一回ヤるぞ」
「………!」
アルコはシーツを頭からバサリとかぶった。
─── ここは絶っっ対に笑ってはいけない
笑顔もダメだ
微笑みすら、傷つける
それが男の『プライド』 ──────
アルコはシーツの中で、安堵と歓びからくる笑みを噛み殺し、消え入りそうな声で「ハイ」とだけ言った。