第4章 優柔と懐柔
一日寝ると風邪は治っていた。
部屋を出てリビングに向う。
沖矢がいた。
『おはよう昴』
「おはようございます」
「体調はどうですか?」
『もう元気よ!』
「それは良かった」
彼の用意してくれた朝食をとり、念の為に風邪薬は飲む。
沖矢から今日のイレギュラーな予定と、近日中に起こる事態の説明を受ける。
『昴ごめん、秀一でサクッと話してほしいわ』
「今日はFBIが来て監視カメラを数台設置する。には酷な話になるが近いうちに安室くんが訪ねて来るだろう」
『私は…どうすればいい?』
「好きなようにすればいい」
意外過ぎる返答にはポカンとした。
自分が彼の前に出る事は保護の意味が無くなるはず、保護解消になるのだろうかと、顎に親指をあて唇に人差し指をあてる。
沖矢はその姿を黙って見つめる。
『保護解消になるの?』
「まだ何とも言えんが…当面解消の予定はないな」
『うーん…でも私が彼と会えば保護の意味は無くなるわ?』
「そうとも言い切れんさ」
いまいち的を得ない返答にの眉間に皺が寄る。
『言葉通りに好きなように会話しても問題ないと言う事ね?』
「ああ、そうなる」
『彼の要件が終わり次第にするわね』
覚悟を決めただった。
そしてFBIの人が慌ただしく作業をはじめる。
続々と設置される監視カメラをボケっと見つめる。
沖矢との部屋の間にある空き部屋の一室がモニタールームとなった。
暫くするとコナンがやって来た。
は随分久しぶりに会ったような気がした。
挨拶も早々にモニタールームへ向うコナンの顔は、少年モードではなかった。