第1章 止まれこの想い『宇髄天元』
「お前に何があったかは俺は知ることはできない。だがな。お前も俺の嫁として....」
「!!!!」
嫁。その単語に反応して思わず体がすくむ。
すると天元様がそれに目ざとく反応した。
「おい、華....」
「...違うんです!!」
今度は天元様の言葉を防いで私が言葉を発する。
「私はっ、他のお嫁さんたちとはちがうっ....!須磨さんやまきをさんや雛鶴さんみたいな綺麗な心の持ち主じゃないんですっ...!!」
もうこれ以上は吐き出したら駄目だと。
心の奥底で自分の理性が言っている。
だけど、叫び始めると、もうその言葉は止まらなかった。
「私は天元様に拾われてっ...天元様のお嫁さんになったけど...私がいることでみんなの思い出を潰しちゃうんです....っ!」
天元様の目がさっきの私のように見開かれていく。
(止まらないと、止まらないと、あぁでも-------)
溢れだした気持ちのブレーキのかけ方を、私は知らない。
「天元様のことは愛してます。嫌いなんかじゃないです、でも私と天元様は他のみんなみたいにつり合ってなんかないっ....!天元様に相応しくないんです!だから、私なんかっ.....!!」
いないほうが、いい。
そう言おうと、口を開いた瞬間。
ぎゅっ
「!?!?」
視界に入ってくるのは、天元様の肩。
そして感じるのは、人肌の温もり。
「っ、てんげ...」
動こうとしてもぎゅうっと強く抱きしめられているため、身動きが取れない。
するとその格好のまま、天元様は私の頭を優しく撫でた。
「...ごめんな。お前がそこまで溜め込んでるなんて気づけなくて。」
「何言って....これは私の責任です、私が悪いからっ....」
天元様に謝られることは何だか筋違いで思わず声を上げると。
「はいそれ。」
「え?」
天元様の顔は見えないが、優しく微笑んでいるのが声で分かった。
「それが、俺のお前が好きなところで、嫌いなとこ。」
「っえ...?」
「お前はいつもそうやって自分の正しいことを貫こうとする。そこに俺は、惚れた。」
「っ...!!」
惚れる。その言葉に身体がすくんだ。