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『鬼滅の刃』夢の戯れ

第1章 止まれこの想い『宇髄天元』




「っ...!?」


今目の前で何があったかを理解できない。

(え、今天元様の声が聞こえた...?いやまさかそんなわけ、え、でも鬼の首ないし....)

ぼーっとしている間にもう鬼の姿は跡形もなくなって。

砂ぼこりが舞うのをやめて落ち着いてきた頃に...




大好きな人の、後ろ姿が見えた。




「っあ....なんで...」



私が消え入りそうな声でそう疑問を口にすると。
その人は私に向かってゆっくりと振り返った。


「っ....」





今目の前にいるのは、大好きで、大好きで、でも諦めようとした...




天元様だった。






その姿に確信を抱いて、さっきの震えとは逆の震えが私を襲う。

手もガクガクと震えて荷物を持つ手が力を入れているのに精一杯だった。

すると、暫くは静かに私の様子を見ていたその人は今度はゆっくりと口を開いた。



「... 華。お前、何考えてんだ。」





「....!!」


低く、それでも重く放たれた一言は天元様と私の空気をびりびりと揺らす。

それでもなんの曇りのない瞳が私を射抜き、またさらに手がぶるぶると震えた。


何も答えない私に天元様はもう一度問う。



「...はっきり答えろ。お前は何を考えてんだ。」



もう口を開かないとさっきの鬼のように首を斬られてしまいそうな威圧感にようやく私は口を開いた。




「わ、たしは....天元様のことが、嫌いっだから....っ」




(嘘。全部全部嘘だ。そんなことない。大好きです)




言いなれない言葉に声まで震えている。

だけど今はそんなことまで構う余裕などなかった。

その言葉を聞いた天元様の肩がぴくりと揺れる。

そして今度は呆れたような声で私に言った。


「お前...ほんとにその言い訳が俺に通用すると思ったのか?」


「!?」


私の大きな告白が言い訳、とまとめられてしまい思わず目を見開いて天元様を見る。

すると天元様は背を屈めて私と同じ目線で中腰になった。


「本当に俺のことが嫌いなのか?」


「っ....」


大好きな瞳に見つめられ、何も返す言葉がなくただその視線から逃げるように俯く。





「俺にはそんな風には思えなかった。」





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