第4章 鈍感な君に送るもの『竈門炭治郎』
「じゃあ、上手くやれよー」
そう言うと宇髄さんはぽんっと私を外に放り投げた。
「わっ!?」
強い勢いじゃないものの、一応私は女の子だ。
一言文句を言おうと後ろを振り返るも...
ぴしゃりと玄関は閉じられていた。
それに諦めて宇髄さんの家の庭を抜けていく。
そこで私はいつものように先程の会話を思い出した。
「うう....炭治郎に告白かぁ、出来るかなぁ....」
一週間前まではポンポンと言えた台詞も、今となってはかなり恥ずかしい。
そしてそう考えていると顔が赤くなるのが自分でもわかった。
そして庭を抜けて今度こそ宇髄さんの家を出ようとすると、目の前に人がいた。
「華」
「!炭治郎....?!」
なんだか思い詰めたような顔をした炭治郎が私の目の前に立っていた。
驚いて声も出ない私に炭治郎はそっと私の手を取る。
そして辛そうな顔でつぶやいた。
「....もう、俺のことは好きじゃないか?」
「....え、」
(!?!?!?!?)
理解できない言葉に頭がこんがらがる。
(え、いや、何でここに、いや炭治郎のこと好きだけど、でも、え、どういうこと、?)
頭の中が?????で埋め尽くされていた。
炭治郎がここにいるのも謎だし、炭治郎が好きじゃないか?と聞いたのも謎だ。
黙っている私に不安になったのかそっと炭治郎が口を開く。
「俺....今になって、気づいた。」
「....?」
(何を?)
「失くして気づくって多分コレのことだよな。俺、華の優しさに、甘えてた。」
「え、たんじ、」
「最初は、何も感じなかったんだ。いつもと違うな、くらいで。でも....段々華の匂いが変わっていって....前までは少し不安そうな匂いだったのに、安心した匂いに変わった。」
炭治郎の話を呆然と聞きながら私はこんがらがる頭で考える。
(宇髄さんの家に行って、話を聞いてもらってたからかな...)
確かに不安な気持ちは消えてたかもしれない。
「その時に、宇髄さんの家に華が行ってるって分かって...それで、何故か俺のほうが凄く不安になったんだ。」
「え、」
思わず声が出る。